閉塞性動脈硬化症、虚血肢に対する血行再建

動脈疾患では、動脈硬化による血管内腔の狭窄や閉塞により血流障害を生じる閉塞性動脈硬化症が治療の対象となります。閉塞性動脈硬化症になりやすい危険因子は、高齢、 糖尿病、高血圧、喫煙、高脂血症、透析などが挙げられます。 症状としては、下肢の冷感や色調不良、間欠性跛行(数百メートル歩行すると足が痛くなるが、休むとまた歩けるようになる症状)があげられます。放置すると病変の進行に伴い下肢に潰瘍が生じ、感染を併発すると敗血症を来たし命に関わるため、救命目的に下肢切断を行う場合があります。 突如悪化する場合もありますが、

多くは上記の下肢冷感や間欠性跛行を以前から認めることが多く、その時期に受診することをお勧めします。

当院では透析患者様の入院が多く、毎日フットチェックを行い閉塞性動脈硬化症の早期発見に努めております。 また閉塞性動脈硬化症の患者様の約30%に狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、約10%に脳卒中などの脳血管疾患を合併すると報告されています。 当科受診時には、頸動脈エコーや心臓エコー、場合により冠動脈CTを施行してrisk評価も致します。

動脈硬化は決して一部の血管だけではなく、全身の血管に悪影響を及ぼす元凶です。

ですから全身の血管管理(Total Vascular Control)が重要となります。

治療法

1.カテーテル治療(EVT:EndoVascular Treatment)

X線透視下でワイヤーとカテーテルを用いて 病変を治療する方法です。カテーテル先端の風船を病変部で広げて血管を拡張し、ステント(金属製の筒)を留置します。近年これらの Deviceが進歩して成績は向上しております。


2.バイパス手術(解剖学的bypass、非解剖学的bypass、distal bypass)

以前から行われていた治療法です。人工血管や自家静脈(足の静脈)を用いて、病変部を飛び越えてバイパスし、足先に血液を流す方法です。 バイパスの経路、つなぐ血管の場所によって上記の名称があります。新たに血管を再建するので、血流量の増加が期待できます。 当科では、作成後は定期的にエコーでフォローし、閉塞する前にカテーテルで狭窄部を広げる治療も行います。


治療後は、生活習慣の見直しも重要です。先ほど挙げた危険因子を減らす生活を送りましょう。



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